ジャストブリードの発売日は1992年12月15日で、メーカーはドラクエで有名なエニックス(今はスクウェアと合併してスクウェア・エニックス)。スーパーファミコンが発売されてから2年後であり、ファミコンのソフトとしてはかなり後発なゲームだった。ファミコン市場は終息間近で、そのせいか発売本数も少なく、さらに定価が9700円と高かったせいもあってか、有名メーカーのゲームにもかかわらずマイナーなゲームとなってしまった。ちなみに、キャラクターデザインは漫画「3×3EYES」の高田祐三、シナリオは佐藤克之、音楽は田中公平。開発期間が長かっただけあって、ゲームの完成度は非常に高い。定価9700円に怯んでしまった人も、今なら中古で1000円以下で手に入るので、見かけたらぜひ購入してプレイしてもらいたい。
ファンタジー系のシミュレーションRPGで、システムはメガドライブの「シャイニングフォース」やファミコンの「ファイヤーエムブレム」とほとんど同じと思っていいだろう。プレイヤーは6人編成の部隊の隊長となって、戦闘シーンでは最大で4部隊24人を操り、物語を進めていくことになる。戦闘はターン制で、時には隊長数人のみで戦いに挑むこともある。戦闘シーン以外のアクションはドラクエでお馴染みのコマンドウィンドウ。ファミコンとしては表示に漢字が多く使われているため、なかなか読みやすくなっている。RPGとしてはオーソドックスな作りで、分かり辛かったり厭らしいシステムなどは特にない。操作性も良好なので、この手のゲームに慣れていない人にもおすすめできるゲームだ。こんなふうに書いてしまうと、独創性のないただ無難な作りのゲームだと思われるかも知れないが、決してそんなことはない。無駄のない完成されたシステムと独特の演出は、きっとプレイヤーをジャストブリードという世界に引きずり込んでくれるはず。ゲーム機の性能やソフトの容量は、今ではファミコン時代とは比べ物にもならなくなっている。しかし、ゲームの本質的な面白さや完成度は、ゲーム機の性能などとは別次元だということを、このジャストブリードというゲームは再認識させてくれると思う。ちなみに、ゲーム中には高田祐三氏がキャラデザしたとわかるような主要キャラのグラフィックは一切でてきません。ちょっと悲しい。でも音楽の方は期待してよし!
世界観やストーリーなどは知らなくても問題なし。もちろん、プレイしているうちに自然な形でわかるようになってるし…。とは言っても、それでは投げやり過ぎるので説明書よりプロローグと、ゲーム開始直後のナレーションだけ紹介しておきますかね。
…………古き言い伝えによれば、はるか伝説の時代、この地にはランブルビルという国が栄えていた。サファイア、エメラルド、ラピスラズリ、クリスタル、アメジスト、ターコイズ、そしてルビー ――7つの聖なる石の力に守られ、7人の導士に導かれて、永遠の平和と限りない繁栄を約束された、美しい国であったという。
だが、ひとつの石によこしまな影がさし、その心が裏切りの闇にとらわれたとき、ランブルビルはたちまち、塵に帰ってしまったのだ。そして、聖なる石をたずさえた7人の導士たちは、それぞれの民を率いて去っていった。
なぜ、ランブルビルは一瞬のうちに滅び去ったのか。その謎に、言い伝えは答えてはくれない。ただ、導士のひとりが残した予言が、今も伝えられているのみである。
「われわれは7つの石に導かれ、ふたたびここに集まるであろう。正しき力を信じるものが、悪しき力を封じこめ、われわれをこの地に呼びもどすのだ。”正しき力を信じる者”――彼らは、こう呼ばれるであろう。”ジャスト・ブリード”と」…………
ここはアストホルムの町…
この町はでんせつにかたられる聖なる石のひとつ
サファイアによってまもられている…
この聖なる石をうけつぐかけいは 司祭とよばれ
人びとにうやまわれている
こんやは 年にいちどのサファイア祭り……
ことしは 新司祭フィリスが
はじめて ぎしきをおこなう事もあり
祭りは いつにないもりあがりをみせていた……
ジャストブリードのメインキャラクターである、主人公と5人の個性的な隊長たちの紹介。ちょっとネタバレな部分もあるのでご注意ください。